サクラマス~命のドラマ~

日本中爆弾低気圧の影響で大変でした。
昨日と今日は洞爺湖も大荒れ、全くツアーになりません。

ここ数日、ようやく秋らしい雨と晴れが繰り返し、
このお天気で空気もより一層秋めいてくるのでしょう。
羊蹄山にも雪の帽子が被ったようですし、
紅葉が進むのはこの後かな?

そんな頃、お水の中では壮絶なドラマが人知れず進んでいます。

サクラマスが産卵のために産まれた川に戻ってきているのです。
これ、見えます?

何かが見えますか?

彼らはこの上流部で“ヤマメ(山女魚)”として生を受け、
広い洞爺湖に下った後に“サクラマス(桜鱒)”になります。

産まれてからおよそ3年ほどで産まれた川に戻り、
次の世代へのバトンを、産まれた川に託します。


魚道の下流で待機するサクラマスを観察しに行ってきました。
水上から眺めるとこのように見えます。
これでも十分大きさや質感が伝わってきますね。

もう、わかったよね?

そして、彼らの邪魔をしないように物陰からそっと
カメラを沈めてみました。

黒光りしている、オス

身体が黒と桜色のしましまになっています。
アゴも尖り、体高も高く成長しているオスです。
(釣り用語では“セッパリ”と呼びます)

お腹パンパンのメス

こちらは、スレンダーな身体でしかし、お腹がぱんぱんに膨らんだ
メスです。

 

カメラを押さえている手がかじかんでくるような水温です。
人間の快適温度からは外れていますが、サクラマスたちには適温なのでしょう。
彼らは一心不乱に自分のやるべき事をしています。

 

彼らの真剣な姿を見ていたら、
皆さんに見せるため、
今後の洞爺湖での体験(学習)に活かすため
に撮影している自分が、なんだか申し訳なくなってきました。
ということで、ビデオの撮影も早々に、この場から離れました。

カヌーツアーでは彼らが川に入る付近を、湖上から観察しています。
お水の中では、こんなに張りつめたドラマが進んでいたんですね。

彼らの産卵が終わると、
ホッチャレで産まれた川に恩返しをするかのように、
河畔の、湖畔の紅葉が始まるのです。
(ゆ)